iPhone不振なら、アップルの成長は鈍化へ

iPhoneの販売が減少していることを受け、アップルは音楽配信などのサービス事業で収益を確保しようとしている。ただ、アップルのビジネスモデルはiPhoneなどのデバイスの売り上げを基礎とする。デバイスの売り上げが増えて初めて、サービス事業の成長が可能になる。iPhoneの販売が伸びなければ、アップルの成長は鈍化する可能性が高い。

アップルは、ビジネスモデルの転換期を迎えている。アップルには、iPhoneに変わる新しいヒット商品を生み出し、従来にはなかった価値(人々の満足)を創造すること(イノベーション)が求められる。

米中の摩擦激化は、アップルのイノベーションを抑圧するだろう。それは米国経済だけでなく、中国をはじめとする世界経済にも大きなマイナスだ。

トランプ大統領がファーウェイへの輸出を禁止したワケ

米国は自由主義の価値観を基に、民間のアニマルスピリッツを高め、人々のチャレンジを奨励してきた。その価値観がさまざまな人材を米国に引き寄せ、アップルやグーグル、アマゾン、フェイスブックの成長を支えた。アップルはスマートフォンのコンセプトを世界に示し、人々の生き方を変えた。それがSNSなどのテクノロジー創造につながり、米国経済の成長を支えた。米国経済が、足元の世界経済を支えている。

一方、現在の米国は制裁関税を通して対中貿易赤字を削減したい。また米国は、中国のIT先端分野での台頭を抑え、覇権を維持したい。後者は、アップルを筆頭とする米GAFAと、中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)の対決に置き換えられる。トランプ大統領がファーウェイへの輸出を事実上禁止したのは、その一端だ。

もしトランプ政権が覇権の維持と強化を目指すなら、イノベーションの発揮を重視すべきだ。GAFAやITスタートアップの競争力を高めるために、規制の緩和などを進め、さらにアニマルスピリッツが発揮されやすい環境を整備すればよい。