娘に「親がクソだからしかたないよね」と言われた母は……
今、Sさんは桜蔭での学校生活を思いっきり満喫している。多くの気の合う仲間と出会い、ハイレベルな勉強も優秀な仲間に刺激を受けながら頑張っているそうだ。
中学受験期のピリピリとした雰囲気が収まり、親への反抗的な態度も少し収まったという。中学受験期は受験のストレスと反抗期が重なり、ひどい親子ゲンカもしょっちゅうだったそうだ。母親は言う。
「どのような文脈で言われたかは覚えていませんが、『親がクソだから仕方ないよね』とか、ひどい言葉が返ってくるんですよ(笑)」
ただ、そういった反抗は「ある種、必要なもの」と割り切っていた。大人になるためのステップであって、避けては通れない。だから、「ここで感情的になって言い返してはいけない」と親として静観することにしたという。それが結果的に功を奏した形だ。
あくまで子供を信じ、子供の自主性に任せる
割を食ったのが4歳下の妹だ。中学受験期にイライラした姉からストレス解消の標的にされ、意味もなく蹴っ飛ばされたりしたこともあった。母親が叱っても言うことを聞かない姉を尻目に、妹は「もう仕方ないよ。放っておくしかない」と。姉とタイプは違うが、妹も強い子なのだ。
ちなみに、妹は「私は中学受験しない」と宣言している。
「姉の姿を見て、私は嫌だ、と思ったようですね(笑)。なので、わが家の中学受験はこれにて終了です。しかし、まだまだ親業は終わりません。今後も子供たちの人生の岐路は何度もやってきますから。だけど、子供の人生はあくまで子供のもの。親としての軸をぶらさず、横で見守る。それしかないなと思っています」
あくまで子供を信じ、子供の自主性に任せる。1年4カ月という短期決戦に勝利できた裏には、そうした母の信念があった。
※本稿は、公式メールマガジン《プレジデントFamily 中学受験部》の一部を再編集したものです。続きはメールマガジンで配信します。これから購読いただいても、本稿で紹介したSさんの母親のエピソード(全3回)をすべてお読みいただけます。