新聞記事、出版、テレビとブレイク

イーオン社長の三宅義和氏

【西成】本当にそうです。そこからさらに2年弱頑張ったときに一気にブレイクしましたから。

【三宅】渋滞学』(新潮選書)の一冊ですね。いろいろな賞も取られました。

【西成】直接のきっかけはある全国紙から渋滞特集で取材を受けたことです。当時は理解者が少しずつ増えていて、友達が「西成っていう面白い学者がいるから取材に行け」と勧めてくれたそうです。ただ、記者さんとしてはあまり乗り気ではなく、当初は小さな記事で扱われる予定でした。でもいろいろ話をしたら、これは面白すぎるといってカラーで半面の扱いになり、次の日に新潮社から出版オファー、さらにはテレビ番組「世界一受けたい授業」の出演オファーがきました。

【三宅】環境が激変しましたね。

【西成】まさに継続は力なりです。先輩が言っていたことはこれかと。諦めずにちゃんとやってればちゃんとお天道さまが見てるんだと。もう涙ものです。

車間距離を詰めすぎてはいけない

【三宅】私は毎日、高速道路を使っていてよく渋滞に巻き込まれます。車が多いから渋滞すると思っていたのですが、必ずしもそうではないという実感を持っています。

【西成】普通はそう思いますよね。でも車が多くても渋滞しないときもあれば、少なくても渋滞するときもある。なにが原因なのかといえば結局、車と車の間隔です。車間距離を詰めすぎている集団がいると、そこが渋滞の種となります。

1時間の間にある地点を通過する車の数が約2000台を超えるのが渋滞発生の目安です。すると5月、8月、12月の連休時期はどうしても2000台を超えやすい。その時期は私もテレビ出演が多くてスケジュールが大渋滞します(笑)。そもそも2000台を超えている段階で私を呼んでも手遅れなのです。

問題なのは1800台とか、本来は渋滞が起きなくてもいい条件のときに渋滞が起きることです。ではなぜ起きるかというと、一部のドライバーが「ちょっと混んできたな。本格的に混む前に早く目的地まで行きたいな」と思って車間を詰め始めることにある。すると局所的に2000台を超えた状態になるんです。下手をしたら1600台でも渋滞は起きますから。この詰めすぎが大きな原因なのです。