顧客の意見を吸い上げる体制もセブンが先行

たとえばセブンプレミアムは、2009年に顧客参加型のコミュニティサイト「プレミアムライフ向上委員会」(現・セブンプレミアム向上委員会)を立ち上げている。以来、そこで顧客からの意見や要望を積極的に吸い上げ、開発に生かしてきたのだ。

一方、イオンは顧客に向き合う姿勢が十分とはいえない。それがトップバリュの弱さにもつながっている。特に顧客の意見や要望を吸い上げる体制は不十分だ。13年頃からは、顧客の意見や要望を積極に吸い上げた「商品カルテ」を作成し、それを開発に反映させる取り組みを始めているが、その成果は見えづらい。

セブンプレミアムは情報開示の面でも顧客志向を徹底している。商品に共同開発した企業名が明記されているのだ。この取り組みは消費者ニーズに応えるもので、安全性などに敏感な消費者には強く訴求する。

PB商品に製造企業を明記するか

一方、イオンはこれまで製造企業を明らかにしてこなかった。その理由についてイオンは「イオンが責任を持って商品を企画し、販売している」と説明してきた。その考え方は理解するが、より顧客に支持されるのはセブンプレミアムのやり方ではないだろうか。

もっとも、2015年に施行され、20年3月末までに完全施行される食品表示法で、一般消費者向けの加工食品は製造者の名称や工場の所在地の表示が義務づけられた。このためトップバリュについても2割ほどで製造企業が表示されるようになった。ただ、あくまでイオンの対応は受け身であるように感じられる。

イオンの顧客志向が不十分と思える事例は他にもある。子会社のイオンペットが、ペットの預かりサービスで「屋外で散歩をさせる」と宣伝しながら、実際にはしていないケースがあったとして、消費者庁から景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして4月3日に再発防止の措置命令を受けている。