景表法違反も顧客志向の不徹底の現れ

イオンペットは15年9月~18年10月、ウェブサイトや店頭ポスターに預かったペットを屋外で散歩をさせる写真を掲載し、「お散歩朝夕2回」と記載。しかし、広告を掲載した177店のうち107店は一部またはまったく実施していなかったという。これは顧客を欺く行為で悪質だ。

また、イオン子会社のイオンライフは、2017年3~5月に、葬儀サービスについて新聞広告で「追加料金不要」と宣伝しながら実際には別料金がかかるケースがあったとして、消費者庁から景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして17年12月に再発防止命令を受けている。いずれも、イオンの管理不行き届きが指摘されてしかるべきだろう。

「連邦経営」ゆえの問題が表面化している

イオンは積極的なM&A(企業の合併・買収)を行ってきたが、その経営は子会社の独自性を重視する「連邦経営」が特徴だ。M&Aの対象となる企業としては、連邦経営であれば高い独自性を保つことができるので傘下に入りやすい。これを呼び水に次々と企業を傘下に収め、売上高で小売業首位に君臨するにまで成長した。

しかし、連邦経営であるがゆえにイオンの理念が浸透しきっていないという問題が表面化している。イオンは強力な指導力を発揮して顧客志向を徹底し、それにより顧客が望むPB商品やサービスを開発・提供していくべきではないか。それができなければ、ダイエーを含めたスーパーを立て直すことはできないだろう。イオンはこのことについて真剣に考える必要がありそうだ。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
(写真=時事通信フォト)
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