中途採用で転職しようとしている営業マンの大半は前職で失敗している。転職の理由を尋ねると「前の会社はノルマがきつくて別の会社の営業職ならなんとかなるかと思って」と語る人も実際多い。つまり過去の経験はあまりあてにならないのである。業界出身者を採用したからといって売れるとも限らない。
また、面接で自分の自慢ばかりするような営業マンはまず伸びない。なぜなら前の会社のやり方や過去の成功体験に固執している場合が多いからだ。前職のコネに頼って顧客の幅を広げられなかったり、転職先の会社にも今まで成功してきた営業スタイルがあるのに、それに対していきなり異議を唱えたりする。
このような営業マンを採用するくらいならば、営業未経験者を採用したほうがいい。未経験者は新規の顧客を一生懸命に開拓しようとするので、商談をまとめる見込み客も増えていき、結果的に安定する。
だからこそ転職してその会社のやり方を一から学んで、やり直そうと思っている人材を選ぶことが重要なのだ。
さて現在、抱えているダメ営業マンをどうすべきなのかに話を戻す。
まずは「売れない」営業マンに自社で営業を続ける意思があるのかを確認する必要がある。なかには明らかに営業職に向いていないと自分でもわかっていて仕事自体が嫌でたまらないという人もいる。こういう営業マンはそもそも営業マンとして成長しようという意欲は薄い。別の部署に異動させるなどの措置を考えるべきだ。
辞めたほうがお互いハッピーな場合もあるだろう。会社の考え方や営業スタイルが合わないという営業マンもいる。いまだに数字重視でノルマ達成のために気合で営業している会社もある。あまりに高圧的なマネジメントに耐えられず病気になるくらいなら体のためにも辞めたほうがいい。そもそもそのような場合、本人は自然に辞めていくものだ。
営業の仕事や社風が合わない場合に限らず、正常な会社では売れない人がついていけなくなって自分から辞めていく。反対に売れる人から辞めていく会社は異常な状態だ。できる人だけ採用して、できない人を切り捨てる会社では、「この会社は人を育てられない」と見限って、できる人から辞めていくのである。
続ける意思のある営業マンには、上司が把握している問題点を客観的に指摘し、改善する意思が本人にあるのかを確認し「改善します」と答えるようなら、できるだけ会社で育てるべきだ。