有休を消化させないと会社が罪に問われる!
強制的に休ませるという意味では、企業に新たに課せられる「有給休暇の時季指定義務」にも注目したい。
これまでは労働者が自分で申し出ないかぎり、企業は有休を取らせる必要がなかった。しかし改正後は、年10日以上の有休が付与されている労働者に対して、企業が労働者に希望を聞いたうえで、時季を指定して最低でも5日は有休を取らせる義務を負う。違反すると、従業員1人当たり最大30万円の罰金に処せられるおそれがある。
「自ら働きたい社員だけでなく、遠慮して希望を言わない社員がいるかもしれません。休みやすくするために、全社員の有休をお盆休みなどの前後に時季指定して、全社的に休業するやり方もあります」
法律どおりに残業を制限したり有休を取らせたら現場が回らない、と嘆く中小企業経営者もいるだろう。発注者の大手が短納期を求めて下請けの負担が増している現状では、たしかに酷な面もある。
しかし、ブラック労働撲滅の流れには抗えない。幸い、中小企業への時間外労働時間の規制強化は、大企業より1年遅れの2020年4月から(有休の時季指定義務は19年4月から)。業務を見直して対応するしかないだろう。