田舎をベースに都会に働きに出るのが主流に

都会から抜け出すことが容易になるにつれ、今後もデュアラーは増えていくことでしょう。ただ、今は都会をベースにして時々田舎に住むという人が多いわけですが、働き方改革やテクノロジーの発展に伴い、今後は田舎をベースに都会に働きに出るのが主流になるのではないかと思います。なぜなら、田舎のほうが圧倒的に暮らしやすいからです。物価は安いし、自然が豊かで、のんびりしている。子育てにも最適です。

あるいは、こんな未来も想定できるかもしれません。これは思想の側から予測してみたものです。つまり、構造主義、ポスト構造主義と見てきましたが、その次の段階はポスト・ポスト構造主義と呼ばれています。その代表格はドイツの哲学者マルクス・ガブリエルの新実在論でしょう。ガブリエルの新実在論は、ごく簡単にいうと、見たものがそのまま存在すると説くものです。たとえば、同じ田舎の風景を10人が見ていれば、10通りの見方があるのではなく、10通りの現実が存在するというわけです。

一見ばかげているようにも思われるでしょうが、バーチャル世界はそれに近いといえます。VR(仮想現実)などを使えば、同じ現実の中にいつつ、あたかも異なる世界にいるような感覚にとらわれるのですから。したがって、VRやAR(拡張現実)などで体感している世界は、もう1つの生活圏であって、それもまたデュアラーの1つのあり方になりうるのではないでしょうか。週末忙しくても、どうしても田舎に行きたければ、ゴーグルをかけてバーチャルな田舎生活を味わうことだってできるのです。田園風景を見ながら、のんびりと時間を過ごす。多分次の週末には実際に田舎に向かっていると思いますが……。

(写真=iStock.com)
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