立ったまま仕事をするのがこだわり

この『老人と海』をはじめとする名作を世に送り、のちにノーベル文学賞を受賞したヘミングウェイですが、彼の執筆のやり方には独特なものがありました。それは「立ったまま書く」というものでした。

1959年、妻メアリーが撮影したというヘミングウェイ

ヘミングウェイは、胸の高さまである本棚の上に木製の書見台を置き、そこにタイプライターに使う用紙を備え、鉛筆で書き進めました。そして、ある程度物語を先へ進めることができ、会話を挿入する必要性が出てきたときにあらためてタイプライターで打ち直したのだそうです。

この「立ったまま仕事をする」という手法は、グーグルやフェイスブックでも採用されている「スタンディングデスク」との関連性が指摘されています。

座りっぱなしは脳に良くない

アメリカのシリコンバレーや北欧の先進的なオフィスでは、立って作業しながら働いている人が目立つといいます。それはデスクワークにおいても同様で、そうした会社では、「スタンディングデスク」という、机の高さを変えることができる作業台がたくさん導入されています。

現在、「座りすぎ」が、がんや脳梗塞、糖尿病などの重大な病気の原因になっていることが徐々にわかってきており、また、立ちながら仕事をすることが生産性を向上させるともいわれています。これは、立つことによって足の血流がスムーズになり、それに連動して脳が活発に働くようになるということらしいのですが、ヘミングウェイの仕事習慣は、それを何十年も先取りしたものだったといえそうです。

ちなみに、ヘミングウェイの仕事の習慣には、もう一つ変わったものがあります。それは、「毎日、書いた語数を数える」というものでした。

ヘミングウェイによると、これは「自分自身を誤魔化さないための習慣」なのだといいます。彼は自分に対し、最低限のノルマを課して仕事に取り組むことによって自己をしっかりと管理し、短編であろうが長編であろうが毎日決まった分量の原稿を書くことで、世界中の人々に愛される数々の傑作を生み出していったのでしょう。

教養総研(きょうようそうけん)
「教養」に関するさまざまなトピックスを世に発信する小集団。これまで世に出た優れた教養・自己啓発書を日々物色し続けている。
(写真=iStock.com)
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