集中力を高めるためには、どうすればいいか。小説家のスティーヴン・キングは、お気に入りのヘヴィメタルをかけながら執筆に集中しているという。なぜ音楽を聴くと集中できるのか。“ながら作業”のメリットとは――。

※本稿は、教養総研『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』(KADOKAWA)を再編集したものです。

世界的ヒットメーカー作家が続けた仕事作法

『キャリー』『シャイニング』『IT』といったホラー作品のほか、『スタンド・バイ・ミー』『グリーンマイル』といった感動作も数多く手がけてきた「モダン・ホラーの開拓者」スティーヴン・キング。彼の生み出す物語は世界各国で翻訳出版されており、日本における人気もすこぶる高い小説家です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/GDAquila)

キングのプロの小説家としてのキャリアは、1973年、長編小説『キャリー』の原稿を出版社に売ったことから始まるので、すでに約半世紀のキャリアを誇る大ベテランということになります。文芸のみならず、映画界にも大きな影響を与えているキングは、いったいどのような意識づけのもと、日々、新作小説を書いていたのでしょうか。

彼自身の手によるノンフィクション『小説作法』によると、午前中は、取りかかっている作品の執筆を進めること、午後は昼寝と手紙の返事を書くことなど、夜は読書と家族団らんに費やしているそうです。

そして残りの時間で、メジャーリーグ・レッドソックスのテレビ中継を観て、急ぎの仕事があれば進める。したがって、キングの執筆時間は「午前中に限っていた」ということになります。

書斎には気が散るものを一切置かない

キングが執筆活動を進めることにおいて重要視していたのは、書斎の在り方でした。この点に関して、彼は同書で以下のように述べています。

「なるべくなら、書斎に電話はない方がいい。テレビやビデオゲームなど、暇潰しの道具は論外である。窓はカーテンを引き、あるいは、ブラインドを降ろす。(中略)作家すべてに言えることだが、特に新人は気が散るものをいっさい排除すべきである」(スティーヴン・キング著・池央耿訳『スティーヴン・キング 小説作法』アーティストハウス)

執筆の妨げになるようないっさいの物を排除し、気が散る要素を極力なくす。仕事に取りかかる前に、キングはそれらすべてを机の上から片付けてしまうそうです。

その一方で、彼が仕事に取り組むにあたって実践していたのが、「音楽を鳴らしながら書く」ということでした。