ヘビメタを聴きながら集中して執筆

彼が好きな音楽は、ガンズ・アンド・ローゼズやAC/DCといったハードロックで、なかでもお気に入りはメタリカ。メタリカといえば、日本にもファンが多い大人気ヘヴィメタル・バンドです。

教養総研『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』(KADOKAWA)

スティーヴン・キングとハードロックやヘヴィメタルは、一見するとまったく結び付かないイメージがありますが、意外にこれが「集中」するために有効だというのです。

実際に音楽をかけながら(特にイヤホンで聴きながら)仕事や勉強をするとわかると思いますが、ほどよい大きさの音量で音楽を聴いていると、「聴いているのに聴いていない状態」になることがあります。

仕事や勉強がある程度進んで、あらためて音楽に意識を立ち戻らせてみると、あっという間にアルバム1枚分が終わっていた、あるいは、無意識のうちに長い曲が数曲分進んでいた、という経験は誰にでもあるはずです。

このことを当のキングは、「ドアを閉じる手段の一つ」と表現しています。このとき彼のいう「ドア」とは、実際の建物の扉ではなく、「心の扉」を指していると理解するのが妥当でしょう。

そして彼は、このことについてこう記し、自分の執筆習慣についてまとめています。

「書くときは世界を締め出したい」

文豪ヘミングウェイも「ながら作業」

スティーヴン・キングが「音楽を聴きながら執筆していた」という“ながら作業”についてお伝えしたところで、もう一つ、注目すべき“ながら作業”の事例を紹介しましょう。

キューバの老漁師サンチアゴは不漁続きの中、85日目にしてようやく獲物と出会い、二日二晩におよぶ死闘の末、巨大なマカジキを獲った。しかし港へ帰る途中、サメに食い散らかされ、持ち帰ることができたのはその骨だけだった──。米国の小説家アーネスト・ヘミングウェイによる不朽の名作『老人と海』には、過酷な自然に立ち向かう人間の孤独と矜持、悲哀が描かれています。