「やりたいこと」でなく「やりたくないこと」で稼げ

苦手なことで5000万円の借金を背負った彼女だが、得意なことを見つけることで、その何倍も稼ぐ人間になったのだ。ただここで気をつけてほしいのは、「得意なこと」と「好きなこと」「やりたいこと」を混同しないことだ。

好きなことが、収入につながるケースは少ない。総じて自分が好きなこと、やりたいと思っていることは、ほかの人も好きだったり、やりたいと思っていたりすることが多い。それだけ競争が激しく、成功する確率が低い。たとえばカフェが好きな女性が、自分が思うようなカフェを開いたところ、お客がさっぱり入らず閉店するといった具合だ。

逆に自分でやりたいと思わなかったことが、世の中でニーズがあったり、お金を稼ぐだけの価値があったりすることは少なくない。

自分の「できる」を限定しない

笠井氏もそうだ。彼女に5000万円の借金があると知ったとき、私はふつうに働いたのではとても返せないと考えた。そこで個人相手のファイナンシャルプランナーではなく、「1対100」ぐらいの規模でお客様の相手ができる、セミナーの講師を目指すように言ったのだが、彼女は「人前で話すなんて嫌です」と断った。

だが私には彼女には「向いている」という確信があり、強く勧めた結果、大勢の女性客を集める人気講師になった。彼女もしだいにやりがいを感じ、いまではテレビやラジオ雑誌などの仕事もこなすようになっている。

「やりたいこと」と「稼ぐこと」の関係は、上の図のように表すことができる。もちろん「やりたい」ことで「できる」ことを仕事にできればいいが、お金を稼ぐには、まず「できる」、つまり「他人に評価される」かどうかを基準に考えることが大事だ。

できることの見つけ方として、まずは自分の「できる」を限定しない。そして、やりたくないことでも「できる」かもしれないと検討してみる。最初は「やりたくない」仕事でも、やっているうちに手応えを感じ、「やりたい」になることだってあるのだ。

江上治(えがみ・おさむ)
ファイナンシャル・プランナー
オフィシャルインテグレート代表取締役。ライフシフト代表取締役。1億円倶楽部主幹。
1967年、熊本県天草市生まれ。有名スポーツ選手から経営者まで、年収1億円を超えるクライアントを多数抱える富裕層専門のファイナンシャル・プランナー。
(写真=iStock.com)
関連記事
月収44万68歳の悩み"暇で暇で死にそう"
"転職に9回成功した人"が語る転職のコツ
まじめで優秀な人ほど、昇進しにくい理由
「役員級と課長止まり」言動と服装の違い
勢いで「早期退職金」もらうバカの末路