太田さんは出版社勤務ではあるが、一部マスコミ業界に見られる“会社の経費で飲み放題”とは無縁の生活を送る。彼が勤める零細出版社となると、それは尚更だ。

「とはいえ、週末の飲み歩きはやめられません。なので、飲み代や趣味以外の出費はできるだけ削っています。5年住んでいる目白のアパートの家賃は月8万円。私以外の住人は全員学生です。毎晩学生の部屋飲みの音が聞こえてきますが、うるさいというよりは交ぜてもらいたい」

本人が「最も浪費の原因」と語る映画や本、音楽などの趣味にはどれだけお金を使うのだろうか。

「今の会社に就職してから、歌舞伎やクラシックコンサートに頻繁に足を運ぶようになりました。先日は仕事で知り合った方に誘われて、オーボエのコンサートに行ってきました。深い音色に感動しましたが、これが1回1万円。これくらいの相場の芸術鑑賞に月1回は行きます」

さらに、映画や観劇のあとは決まって食事も取る。これもまた出費がかさむ原因となっている。

太田さんは現在の仕事に満足しているものの、漠然とした将来の不安を抱えているという。

「この年になって、そろそろ結婚も考えているのですが、貯金もないし、給料も大手マスコミ時代より高くない。おまけに趣味に莫大なカネを使う私のような男を好きになってくれる人なんているんですかね? 付き合っていた彼女とも別れましたし……。でも最近またいい女性に出会えたのです。ただ将来が不安です。それも保険に入った理由の1つです」

親からの援助が命綱なのに……

太田さんの生活費は月給を上回っており、完全に赤字。これを補填するのが、ほぼ毎月振り込まれる両親からのお小遣いだ。

「本当はよくないとは思いつつも、大手マスコミを辞めてから仕送りをもらってしまっています。ただ、先月ついに『今年度いっぱいで仕送りはもうできないからね』と通達されました。父親が来年公務員を定年退職となり、本当にお金がなくなるのだ、と言われまして」