リスクオフの円高株安につながる可能性に留意
米中貿易摩擦の影響もあり、世界景気の減速懸念が強まっている。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は1月の会合で、今後は追加利上げを見送る可能性があることを示唆した。それでも投資家の不信感は拭えず、グローバルなマーケットの流れはリスクオフの方向を向いている。
こうした中で注意したいのが、新興国が通貨安の連鎖に陥るトリガーを、トルコが弾く展開だ。昨年8月のトルコ通貨危機の際は、アルゼンチンなど一部の新興国の通貨に飛び火するにとどまった。ただ当時と比べると投資家の心理は悪化しており、ショックが世界的に広がりやすい状況にある。
新興国が連鎖的な通貨安に陥った場合、その受け皿通貨になるのは日本円だ。ドル円レートは年明け早々104円台まで急騰した後、足元では109円台で推移している。ただトルコ発の新興国通貨不安が生じれば、ドル円レートは急騰し、株価も急落するなど、日本経済にも無視できない悪影響が及ぶと警戒される。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 研究員
1981年生まれ。2005年一橋大学経済学部、06年同大学院経済学研究科修了。浜銀総合研究所を経て、12年三菱UFJリサーチ&コンサルティング入社。現在、調査部にて欧州経済の分析を担当。