サントリーの米ビーム社の買収は好例

そのために、これまでにはない要素(ビールのテイスト、ビール生産のノウハウ、ブランドなど)を獲得するために、海外企業の買収を検討する必要性は高まるだろう。持続的な成長を目指すために、プロダクト・ポートフォリオを分散することは重要だ。

リスクを見極めつつ、自社の強みを補完すると同時に新興国市場進出の基盤になるような買収を行うことができれば、ビール大手各社の成長期待は高まる可能性がある。

サントリーの米ビーム社の買収(1.6兆円程度)はそのよい例だ。世界経済の減速懸念が徐々に高まりやすい中で、ビール各社が新しい取り組みを進めて需要を取り込みつつ、海外戦略を強化して成長力を引き上げることを期待したい。

真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
(写真=時事通信フォト)
関連記事
大手とは正反対"よなよなエール"の働き方
キリン一人勝ちを支える「本麒麟」の死角
"若者のビール離れ"、原因は値段ではない
サントリー山崎が1本3250万円もするワケ
軽自動車ばかりが売れる日本はダメなのか