睡眠の環境を「現地調達」することも大事で、刑事は事件の現場を調べる「ジドリ(地取り)」をしますが、周辺の住民に「檀家」と呼ばれる協力者を得ることがあります。一生懸命捜査をしていると、ご飯や昼寝場所、シャワーなどの提供を申し出てくださる方がいるんです。
眠気覚ましで言うと、3日間張り込みで眠れていなくても、15分の仮眠ではつらつとなります。体はうまくできていて、意識すれば15分で目が覚めるものです。これも先輩たちのやっていることを真似しただけ。長く寝ていると叱られましたから、厳しい現場で、自ずから身につけた。むしろ自分で睡眠法を習得するくらいのセンスがなければ刑事は務まりません。
大切な捜査の会議でどうしても眠たくなったら、突然立ち上がることもあります。士気に影響しますから、幹部は刑事を咎めることもありません。「恥を晒して」目を覚ます。それができる刑事は勇気がある。一流の刑事になりますよ。
自分自身の「眠い」兆候を把握するのも技術のうち。私の場合は、「ものを探す」ことが増える。手帳とかペンをよく探すようになったら自分は眠いんだと把握していましたね。
・立てこもり事件のときは3日間眠れず。携帯電話は常に枕元に
・ご飯や昼寝場所などを提供してくれる協力者も「現地調達」する
・張り込みでは、公園でダンボールを敷いて寝ることも
軍事評論家
航空自衛隊で戦闘機パイロットとして訓練を積むも怪我が原因で除隊。アフガニスタンなどに傭兵として参戦した。
谷田部美穂
CAとして7社に内定し、ANA、JAL、アリタリア-イタリア航空など5社で計11年の乗務経験を持つ。
久保正行
第62代警視庁捜査第一課長。67年警視庁入庁。74年捜査第一課に異動、警視正までの全階級で同課に在籍。2008年3月勇退。