刑事──一流の刑事は「眠気の取り方」が決定的に違う
●久保正行

捜査一課は殺人や強盗といった強行犯を扱います。人の命が関わる事件ですから、重大性、切迫性は高い。追跡や張り込み、犯罪事実を確認するときに、眠いなんて言い訳はできませんよね。実際に、私も立てこもり事件のときは3日間眠れなかった。寝ていても枕元には携帯電話。それが日常です。

なかでも、一課は刑事の中でもプロ中のプロ。酸いも甘いも知り、経験も体力も精神力も兼ね備えた人間たちです。自分自身をコントロールする術を持っていて、ある意味で自分の思い通りにことを進める「ずるさ」もある。そうでないと、自分の体をいたわれないですからね。

久保正行氏

私はよく、一流の刑事とは「現地調達」ができる刑事のことだと言っています。犯人のしっぽや事件のネタを入手できるのは、すべて現場。警察官だから、刑事だからと教えられるというよりは、実際の現場で学んでいくことですね。

睡眠法についてもそう。電車の中で寝たり、車で眠るのはしょっちゅう。張り込みでは、公園でダンボールを敷いて寝る刑事もいます。もちろん、日中は捜査本部で会議に出るのですが、夜は現場に出て「ホームレス生活」をする。

布団もないような環境で快適に寝るには、自分に合った毛布、枕を見つけること。新聞紙を何枚も巻いたり、木の板を挟んで硬さを調整したり、自分のやり方を見つける。私自身の睡眠法としては、食事してすぐは眠りづらいですから、2~3時間後に、ホットミルクや白湯を飲むとぐっすり眠れた。