アルツハイマーの次に多い脳血管性認知症

脳卒中になると、障害を受けた脳の場所により、片麻痺(へんまひ)や失語症など多彩な症状が出ます。脳卒中発症から5年後の追跡調査として、「3分の2の人に麻痺など障害が残っている」「20%の人が脳卒中を再発している」とされています。

脳という重大な部位へのダメージは、仮に少しの出血でも、場所によって大きなものになります。

もちろん、脳卒中を発症しても、全員が麻痺で寝たきりになるということでは決してありません。また、適切なリハビリテーションを行っていけば、確実に症状は改善されていきます。

しかし、寝たきりを避けるためには、そもそも脳卒中にならないようにすることが、一番の近道と言えるでしょう。

脳卒中は脳の血管の病気ですが、実は寝たきり原因第2位の認知症も、脳血管性のものが多いのです。

認知症というと、アルツハイマー型認知症を想像する方が多いと思いますが、脳血管性認知症はその次に多くなっています。現在は、病理学的所見から両方を合併している例も多いという見解が示されています。

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90代でも元気な人は何が違うか

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などによって脳の血管にダメージを受けた結果、起こる認知症です。つまり、脳卒中がそのまま認知症の原因となっているのです。実際、脳卒中発症から5年後の追跡調査として、「22~25%の人が認知症になっている」と言われています。

脳卒中になると認知症になりやすくなるというのは、間違いないことだと思います。

ここまでの話を読んで、みなさんは絶対に脳卒中にはなりたくないと思っていらっしゃるでしょう。

病気はどれでもそうですが、脳卒中にはなりやすくなる危険因子があります。それは「修正できない危険因子」と「修正できる危険因子」に分けられます。

修正できない危険因子としては、年齢(55歳以上で10歳ごとにリスクは2倍に)、性別(男性は女性よりハイリスク)、脳卒中の家族歴があることです。

高齢になるほど脳卒中になりやすくなり、要介護になりやすくなる。それは仕方がないことでもあります。けれども、そこには個人差があります。80代や90代になっても、脳卒中になることなく、元気な方もいます。