脳卒中の「修正できる危険因子」に有効

ここで重要になってくるのが、修正できる危険因子です。

修正できる危険因子としては、高血圧、糖尿病、高脂血症、心房細動などの心疾患、肥満、喫煙、運動不足、過度の飲酒などがあげられます。

脳卒中にならないためには、この修正できる危険因子をコントロールしてあげることがカギになります。

ではどうしたら、脳卒中の「修正できる危険因子」をコントロールすることができるのか。

高血圧にならないようにし、糖尿病にもならないようにし、高脂血症にもならないようにし、肥満にもならないようにする。なっても、悪くならないようにうまくコントロールする。

実は、これらすべての予防や治療に有効なものがあります。しかも無料です。何だかわかりますか?

「運動」です。適切な運動です。

運動は、寝たきり原因の第3位である「骨折・転倒」予防にも有効です。

骨折は、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という骨がもろくなる状況になると、起こりやすくなります。

運動で血流が良くなり、骨形成が活発に

骨の強さは、外側の骨密度と骨の中の質が重要であると言われています。

「骨密度が高く骨質の良い人」に比べて、「骨密度が高くても骨質が悪い人」は1.5倍骨折しやすく、「骨密度は低いけれど骨質が良い人」は3.6倍、「骨密度も低く骨質も悪い人」は7.2倍骨折しやすいというデータを、慈恵医大の整形外科の齋藤充先生たちは示されています。

骨粗鬆症があると、寝たきり確率が2倍近くになるともされています。

ではどうやって、骨密度を高くし、骨質を良くするのか。それには運動なのです。

骨は常に、「骨吸収(破壊)」と「骨形成(再生)」をくり返しています。これを「骨代謝」と言い、サイクルは約4カ月です。

運動することで血流が良くなり、骨形成が活発になり、骨がつくられやすくなります。その結果、骨量を増やすことができるのです。

また、骨の材料であるカルシウムを骨に沈着させるには、運動により骨に圧力をかけることが重要です。