スポーツ苦手でも大丈夫

骨を丈夫にする運動は、同時に筋肉を鍛えることにもなります。運動によって骨を鍛え、筋肉を鍛えれば、寝たきりはどんどん遠ざかっていきます。

要支援の原因で上位にくる、関節疾患も同様です。運動によって骨と筋肉を強くしていくことで、ひざの痛みなども改善されていきます。

運動だけでなく、もちろん「食事」も重要です。また、しっかりと「検診」を受けることも欠かせません。

しかし、食事を変えるだけでは筋肉はつかないし、骨も丈夫になりません。また、先にも述べたように、脳卒中のみならず多くの病気の原因である肥満も、食事改善だけではなかなかうまくいきません。

まずは運動です。運動すれば、自然と痩せていきます。リズムが整い、健康的な生活を送れるようになります。

とはいっても、「スポーツは苦手だから……」という方も多いかもしれません。

大丈夫です。ハードな運動は必須ではないのです。

一生続けていくことが重要

健康のための運動は、毎日続けてこそ効果があります。1カ月や半年など、決まった期間だけすればいい、というものではありません。ハードな運動はたいてい長続きしません。それよりは、「つらくない」運動を、それこそ死ぬまでずっと続けていくのが重要なのです。

そこでおすすめなのが、「歩く」ことです。ウォーキングです。

寝たきりとは、つまり歩けないということです。逆説的ですが、歩き続けることを目標にすれば、必然的に寝たきりになりません。歩いているかぎり、大丈夫ということです。

逆に、歩かなくなると、人は簡単に動けなくなります。リハビリテーション医療の現場でも、簡単に動けなくなるものだと実感しています。

脳卒中の代表的な後遺症は麻痺ですが、全身麻痺で寝たきりになるケースは少数です。けれども、たとえば片足麻痺や高次脳機能障害によって外出がおっくうになり、歩かなくなる。結果として、体がどんどん衰え、寝たきりに……という悪循環に陥ることも多いのです。

よく、大きな手術をした後も、病院ではすぐに歩かされるという話を聞きますね。それは寝たきりの状態だと、あっという間に身体機能が衰えてしまうからです。

これを「廃用症候群」と言います。

われわれの入院患者さんへのリハビリテーション治療も、主に廃用症候群を防ぐために行われます。