遺族が困らぬように存命中の今、何にお金をかけるべきか

人生の終わりに向けて準備をする「終活」に関心を持つ人が増え、エンディングノートにも注目が集まっている。

エンディングノートは、葬儀に関する希望や個人情報を記録して活用するもの。取引金融機関の情報など、相続時に役立つ情報も記入できる。

ただ、エンディングノートには法的拘束力はない。「遺産分割の希望がある場合には遺言書が必須。エンディングノートとの機能の違いを理解し、両方準備しておくと理想的です」(長谷川さん)。

遺言には、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言の3種類があるが、一般的に利用されるのは(1)か(2)。「(1)は自分で簡単に作成できる一方で要件を満たさず無効になるケースも多いので、(2)が望ましいです」(黒田さん)。

公正証書遺言の作成は、信託銀行の「遺言信託」で頼めるが、費用が30万円程度かかる。保管、執行まで含めると最低100万円程度が必要になる。各種サポートはあるが手数料が高いのが難点だ。一方、自分で公正役場に出向いて作成すれば、財産の多寡にもよるが、数万円程度で作成できる。

残された家族が困らないように、コストを意識しながら準備を進めたい。

▼自分でつくるエンディングノートと遺言で、浮く金額は100万円(※)

(※)遺言信託と比較した場合

長谷川裕雅(はせがわ・ひろまさ)
東京永田町法律事務所 弁護士・税理士
弁護士と税理士の両資格を保有し、相続問題を総合的に解決できる数少ない専門家として相談者からの絶大な信頼を得る。著書に『磯野家の相続』など多数。
 

黒田尚子(くろだ・なおこ)
CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士
大手シンクタンク勤務後、FPとして独立。執筆、講演、個人相談など幅広く行う。著書に『50代からのお金のはなし』など多数。
 
(写真=iStock.com)
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