ゴーン氏の解任が決議されたことは重要
重要なのは、日産のガバナンスだ。まず、日産主導で同社のガバナンス体制を強化する。その上で、当局も関与しつつ、企業統治が期待された通りの機能を発揮しているかを客観的にモニターする。
この点に関しては、金融庁からもコーポレートガバナンスコードに沿った形で企業統治が実際にワークしているか、厳密に確認していく必要があるとの見解が示されている。その上で、資本上のアライアンスを維持しつつ、日産の経営基盤を強化することが重視されるだろう。
この点で、22日の日産取締役会にて全会一致でゴーン氏の解任が決議されたことは重要だ。それは、フランス政府の意向を反映したルノーが、ゴーン氏の責任を認めたことの表れであるからだ。
逮捕後もゴーン氏がルノーCEOにとどまる背景
ゴーン氏逮捕を受け、アライアンス体制の今後の展開は読みづらくなった。今すぐに、フランス政府が日産自動車の株式を買い増して、強引に経営統合を目指す展開は考えづらい。当面は、捜査の進展などを見守る状況が続くだろう。
気になるのは、足許、マクロン大統領の支持率が低迷していることだ。また、マクロン大統領はゴーン氏逮捕に関して、「情報を満ち合わせておらず、意見を述べるのは時期尚早」との立場だ。フランス国内では、ゴーン氏の逮捕を批判的にとらえる報道が多いとも聞く。日仏の担当閣僚からアライアンスの安定を重視するとの見解が出されはしたが、それがフランス政府の公式見解であり、今後もその立場が続くとは限らない。
逮捕後もゴーン氏はルノーのCEOにとどまる。その背景には、フランス政府にとってゴーン氏以外に3社の経営統合を進める資質を持つ適当な人物が見当たらないという事情があるだろう。その点で、フランス政府の基本的な姿勢に変化はなく、マクロン政権は今後も経営統合を目指すだろう。状況によっては、フランス政府の意向をくむ人物がルノーを経由して日産に送り込まれることもあるだろう。