ここで、大塚家具とニトリの損益計算書の売上高や営業利益など2社の儲け方の差を数値の増減で示してみた。売上高は単価×数量だが、ニトリは商品単価を抑え、一方で数量を増やし、売上高を伸ばすビジネスモデルだ。これに対して大塚家具は、価格は横ばいながら数量を大きく落とし、売上高は落ち込んだ。

AFLO=写真

原価についてニトリは徹底したコストダウンを行い、大塚家具は高価格品の仕入れを中心に原価は高いまま。その結果、ニトリは粗利を大幅に伸ばし、大塚家具は横ばい基調だった粗利を減らしている。

販管費はそろってほぼ横ばいだが、ニトリは営業利益を大幅に増やし、大塚家具は営業黒字が現社長となって営業赤字に転落。売り上げ、コスト両面からの構造の違いが、2社の明暗を浮き彫りにした。18年2月期で31期連続増収益が確実視されるニトリの快進撃、17年12月期で2期連続大幅営業赤字を余儀なくされた大塚家具の大苦戦の背景には明白な理由がある。

鈴木貴博
経営戦略コンサルタント
 

川原 潤
大和証券エクイティ調査部シニアアナリスト
 
(写真=AFLO、iStock.com)
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