「相手の顔を見てタレントに似ているとか、どこかに特徴があるとかなら、あだ名をつけてイメージを描くと記憶しやすくなります」
その人と会った日に自宅に帰ったら名刺の裏側に相手のイラストを描いておくのも記憶のコツだ。
次に、話す、書くなどアウトプットの能力の高め方。これらの機能に関わるのが前頭葉。福井氏は、アウトプットも実はインプットの暗記で勝負が決まるという。
「極端な例だと日本語の『朝飯前』を『That thing is before breakfast』と直訳でもなんでもない無意味な表現をしてしまう人がいます。『It is easy』と基本的な言い方をきちんと暗記していないと、話すことも書くこともできないのです」
ネーティブのように話したいと発音に気をつかったところで、肝心の意味の通じる英文が頭に入っていない限り、会話は成り立たないのだ。
記憶力を高めるには「レム睡眠」を増やす
今度は法律用語や経済用語、数字などを覚えなければいけない資格試験の学習法についてアドバイスをもらおう。一番の鍵は体を使って覚えることだ。
「黙読よりも音読のほうが記憶しやすいという研究結果が出ています。自宅などで勉強する場合は声を出して覚えるのがいいでしょう」
目だけで覚えるよりも、目も口も耳も使う音読のほうが、脳のいろいろな部分を働かせるので記憶が定着しやすい。よく間違える用語は何度も録音するとか、3回以上間違えたところはノートにまとめて試験前日に見るとか、そうやってオリジナル教材をつくって活用するのも記憶のコツだ。
それでもなかなか覚えにくいこともある。とりわけ似たような用語だと間違えやすい。
「たとえば民法と商法の条文で似ているところがあって混同しやすいケースがあります。そんなときは、民法は赤線を引いて、商法は青線を引くなど、色を変えて覚えるといいでしょう」