試験や語学の勉強をしても、本を読んでも、覚えたそばから忘れてしまう。そんな悩みを持つ人は多いのではないだろうか。かつては「年を取ったら記憶力が落ちる」と言われていたが、脳科学者の茂木健一郎氏は「緩やかに成熟していく脳は、その後も急速に劣化することはない」と言う。ではなぜ忘れてしまうのか。どうすれば思い出せるのか。とっておきの方法を伝授していただいた。「プレジデント」(2022年2月18日号)の特集「忘れない勉強法大全」より、記事の一部をお届けします──。
脳科学者 茂木健一郎氏
撮影=大崎えりや
脳科学者 茂木健一郎氏

記憶力の低下は意欲の問題だ

「年を取ったことで記憶力が落ちた」──こんな言葉をよく耳にします。

これは真実でしょうか。結論から先に述べると、事実に反します。たしかに以前は、「人間の記憶力は若者のほうが優れている」が通説でした。脳細胞は成人してからは新生しないと思われていたからです。

しかし近年、その通説が大きく変わりつつあります。成人の脳でも、新生し続ける神経幹細胞の存在が明らかになったからです。つまり、学習や記憶、脳の損傷修復は大人になってからも十分に可能。「年を取ったから学べない」は、単なる言い訳にすぎないのです。

「プレジデント」(2022年2月18日号)の特集「忘れない勉強法大全」では、本稿のほか、ファーストリテイリング柳井正会長兼社長とニトリホールディングス似鳥昭雄会長の初対談「自分を変える勉強法」、野口悠紀雄氏による「『人生最高の学習効率』を手に入れる方法」、「『高齢資格合格者』は、なぜ合格できたか」、「プロフェッショナル流!『名前・顔・注文』を覚える技術」など、忘れないための勉強法、効率の良い学習法の記事が満載です。ぜひお手にとってご覧ください。