色の違いでメリハリを利かせることによって記憶に残りやすくするのだ。覚えたいことを録音する場合は、音の高低で異なって聞こえるようにするといい。

「民法で間違いやすいところは高い声で、商法で間違いやすいところは低い声で吹き込む、あるいは男性であれば民法は自分で、商法は奥さんに吹き込んでもらうのも1つの手です。ちなみに多くの大学受験生が受けるセンター試験のリスニング問題は、誰が話しているかを間違わないように男女で会話する形式にしています」

▼大記憶法2 間違いやすいものは「色分け」と「音分け」が効果的
●色分け
似ている項目で覚えにくいものがある場合には蛍光ペンなどで色をつけ、分けて覚えるのも効果がある。左脳に加え、右脳でも記憶を促す。最初から色分けするのではなく、どうしても覚えられないときに使うのが効果的なテクニックだ。
●音分け
暗記にはICレコーダーを使って覚えるのが有効だ。声を出して音読する効果に加え、聞くときには音として認識するので右脳も使って覚えられる。音の「高低」「強弱」「長短」などで分けることで覚え分けもすることが可能だ。

用語は覚えられるけど、数字が記憶できないという人によい処方箋はあるだろうか。

「なるべく右脳を使うのがコツです。4桁くらいの数字であればそれを紙に書いて張り、画像、イメージとして覚えてしまうのです」

記憶力を高めるために生活習慣にも気を使いたい。まずは影響の大きそうなのが睡眠だ。

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があって約90分のワンセットになっている。脳は動いて体が休んでいるのがレム睡眠、脳も体も休んでいるのがノンレム睡眠だ。

「レム睡眠のときに記憶が定着します。最低でも4セット6時間の睡眠を取りたいところです。理想を言えば5セットの約8時間眠れればレム睡眠を1回増やすことができ、記憶がより定着しやすくなる。私が受験勉強していたときも8時間以上寝ていました。逆に記憶定着の時間がない徹夜は絶対にダメです」

睡眠をしっかり取ったら、朝ご飯をきちんと食べることも大切だ。

「起きたときは血糖値が下がっているから脳が働きません」

朝食を食べて血糖値を上げ、体を動かして血圧を上げると脳が動き出す。脳が活動するまでには1~2時間かかるので、それを計算に入れて仕事なり学習なりの計画を立てるといいだろう。

福井一成(ふくい・かずしげ)
医学博士
開成高校卒業後、東京大学文科II類に入学。翌年再度受験し、東京大学理科III類に合格。医師として勤務する傍ら、脳科学に基づいた勉強法に関する執筆を行う。著書に『脳を一番効率よく使う勉強法』など。
(撮影=岡田晃奈 写真=iStock.com)
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