東大に2回合格した、脳科学的勉強法

英語の資格試験や仕事に関係するさまざまな資格試験など、昨今は社会人になっても勉強が欠かせない。以前にも増して集中力、記憶力が試される場面がぐっと増えている。理論、言語を司る左脳も、感性に関わる右脳も、両方フルに使って学習したいものだ。

写真=iStock.com/metamorworks

医学博士の福井一成氏に、試験に向けて学習効果を上げる方法を教えてもらおう。福井氏は東京大学の文系学部に入学しながら途中で医学部進学課程を受け直し、東大の文系学部と理系学部の両方に合格するという受験の達人でもある。

まず、最近は会社によっては社内公用語になるなど無視できない英語の学習法から。リスニングもスピーキングのどちらも上達したいものだ。しかしそれらの能力に関わる脳の位置は違うという。

「音を聞く機能は側頭葉の言語野にあり、話す機能は前頭葉の言語野にあります。脳活動を測定すると英語の『ドッグ』も日本語の『犬』も、耳から入るときは同じ言語野が反応しますが、しゃべるときは『ドッグ』と『犬』で違うところが反応します」

そのメカニズムに応じ、リスニングは英語と日本語をワンセットにして覚えるのが効率的だという。熟語や短文も同様にセットで記憶するのがお勧めだ。「He is a boy」と「彼は少年だ」くらいの短文なら十分一緒に覚えられる。

「市販のテキストを使ってもかまいませんし、よい教材がなければ自分でICレコーダーなどに吹き込んで覚えてもいいでしょう。覚えたい文章だけを選んで、自分で録音すれば教材になるので学習の効率がよくなる利点があります」

時間があれば「ドッグ」と「犬」に加えて、犬のイラストなど覚えたいことのイメージを描くのも効果がある。実はこうやって左脳と右脳の両方を使って言葉とイメージを一緒に覚え込む方法は、人の顔と名前を覚えるためにも使えるという。

▼大記憶法1 左脳からだけでなく右脳からもインプット
●右脳:劣位半球
絵はわかるが、言語はわからない【画像や音を見る・聞く】
●左脳:優位半球
言語はわかるが、絵はわからない【言葉を読む・書く・聞く・話す】
STEP 1:イラストを見る 目を刺激→右脳で記憶
STEP 2:音読しながら書く 口と手を刺激→左脳で記憶
STEP 3:録音して聞く 耳を刺激→両方で記憶