リアルな図解で、理解度がアップ
肝でもある(3)についてだが、多田さんは何度も研究開発担当者を訪ねてヒアリングを行い、深く理解するように努めた。「本質の部分を理解していないと、本当にわかりやすい資料を作成できないからです」と多田さん。
「口のなかには600種類以上の菌が存在し、その6割超が舌の上にいます。舌の菌は主に『病原細菌』『一般細菌』『その他の菌』の3種類で、なかでも代表的なその他の菌である『Fn菌』が口臭のカギを握っています。ほかの細菌と結合し塊になる性質があり、その塊が増殖することで、口臭の元となる成分を発生させるからです」
多田さんはFn菌を“柿の種”に触手が生えたような手描きの絵柄にしながら解説。リアリティに富み、説明を受けている者全員が自然と納得していく。
では、どう口臭を発生しないようにするか。「イソデシルガラクトシド液(ID‐GAL)という新清浄成分を開発しました。そのID‐GALをFn菌にくっつけることで、ほかの菌と結合しないようにブロックします。その結果、塊ができず、口臭予防になるわけです」という多田さんの説明も、口臭発生のメカニズムが理解できているので、素直に耳に入ってくる。
そして、泡がパチパチと弾ける際にID‐GALはFn菌と結合しやすくなり、最も効果を発揮することから、「泡」が採用されたのだ。そしてパワポ資料では、商品パッケージの写真とともに、あえて「ID‐GAL」「泡」というたった2つのキーワードを示すことで、そのスゴさがダイレクトに伝わるように工夫した。先の市場分析の資料と違って、メリハリの利いたシンプルな内容だけに、プレゼンを受けた者の頭のなかにしっかりとインプットされること間違いなしだ。
硬軟織り交ぜながらパンチの利いた資料づくりを目指す、多田さんのパワポ活用術。さまざまなビジネスシーンで参考にしたい。