コロナ禍で過去最高の売上を記録
在宅時間の増加を受けて、入浴剤市場が大きく伸長している。花王によれば、市場全体で前年比115%となった。入浴剤と一口に言っても、「炭酸ガス」「温泉風」「美容ヘルスケア」「キャラクターもの」などさまざまな種類が発売されているが、炭酸入浴剤を含めた全体で昨年は伸長した。
花王「バブ」シリーズも1983年の発売以来で過去最高の売上を達成した。仲田さんは、現状を次のように分析している。
「温泉系の入浴剤で気分転換をしたり、美容効果を求めて発汗作用のある入浴剤を使用したり、子どもとの入浴タイムを楽しむためにキャラクターものの入浴剤を使う傾向が見受けられました。いわゆる『おうち時間』の上手な活用法の一つとして、入浴剤に注目が集まっているようです」
「バブ」シリーズのなかでも特に好調なのが、1箱で4種類の香りを楽しめるアソートタイプだ。以前から人気だった、ラベンダーやカモミールなど癒やしの香りを中心に詰め合わせた「ナイトアロマ」と、昨年秋に発売した、温泉のような乳白色の湯で優雅な気分に浸れる香りを堪能する「ミルキーアロマ」が一層売れ、2020年は前年比120%となった。
なぜ、これほどまでに入浴剤が売上を伸ばしたのか。その理由は、2つあるという。
「湯船に入る人」が増えている
理由1:コロナによる入浴関連行動の変化
2020年に行われた花王の調査によると、「湯船入浴率」「1週間あたりの湯船入浴日数」「湯船入浴時間」の3つがすべて増加しているという。「湯船入浴率」は2018年の約半数から大きく伸び、70%を超えた。湯船入浴実施者をベースに調査した「1週間あたりの湯船入浴日数」も、「毎日湯船に入る」と答えた人が2018年の48%から約10%増え、59%となった。また、「5分以上湯船につかる」と答えた人は80%を超えている。
入浴剤の使用率は横ばいで50%前後となっているが、入浴剤の使用頻度は上昇。週に3日以上使う人が2018年は49%でわずかに半数を下回っていたが、2020年には57%まで上がった。
さらに、入浴剤の平均単価も上がっている。製品仕様によってもさまざまだが、2010年から年々上昇し、2021年(1〜5月)の平均値は400円とみている。その背景には、「多少値段が高くても、健康的な生活を手に入れられるなら積極的に使いたい」という消費者の意向があるという。