※本稿は、桐村里紗『日本人はなぜ臭いと言われるのか』(光文社新書)を再編集したものです。
ガラパゴス化する日本の、NGな歯磨き法
さまざまなことが特殊に進化し、ガラパゴス化している日本。歯磨きの方法も、実はガラパゴス化していることの一つだ。それどころか、日本人の歯磨きの方法は、虫歯や歯周病を悪化させ、口臭の原因になっている可能性がある。
残念ながら、多くの日本人は、世界では非常識とされる、誤った歯磨き方法を行っている。「食後すぐに歯を磨く」という方法だ。
子どもの頃、母親や学校の先生から、「食べたらすぐに歯磨きしなきゃダメでしょ!」と怒られた経験はないだろうか。
以前はそれが良いとされ、「1日3回、3分間、食後3分以内に歯を磨こう」という「3・3・3運動」が日本全体で推進されていた。
国全体がそれを良しとしてしまったのであって、親や先生を恨んではいけない。科学的な1つの論理は、後に覆(くつがえ)される可能性があるのが世の常だし、あるコミュニティーの常識は、別のコミュニティーの非常識とは、よくあることだ。
90年代よりも現代のほうが歯周ポケットが増えている
絶対的真理でない限り、それらを100%信じ込むのではなく、常にアンテナを立てて、自分自身をバージョンアップできるようにしておくのが賢明である。
厚生労働省によると、1日2回以上歯磨きをする日本人は、昭和44年は20%以下だったのが、年々増加し続け、平成28年には77%になっている。平成11年と平成28年を比較すると、3回以上歯磨きをする人も右肩上がりで、10%以上増加している。
それにもかかわらず、治療対象となる4mm以上の深い歯周ポケットを持つ人は、平成11年から平成28年で、どの年代でも増加しているのだ。75歳以上では、20%以上も増えて、50.6%。なんと、15~24歳でも、17.6%となっている。
ちなみに、平成11年といえば、ミレニアムを目前にした1999年。懐かしの90年代よりも、現代の方が、歯周ポケットが多いなんてことがあってよいのだろうか。
いろいろな要素が絡み合うため、この原因は一概には言えないが、歯磨きの回数が増えたところで、歯周ポケットの形成予防には功を奏していないことは言える。
歯周ポケットが形成されると、当然、炎症から口臭の原因にもなるので、諸外国から「口が臭い国民」と言われても仕方がない。