食後の唾液の分泌を促すためには、唾液腺マッサージや、舌をぐるぐる回す舌回し運動、また砂糖を含まないガムなどが推奨されている。
舌回し運動は、舌を歯と歯茎の間に差し入れて、上下左右、満遍なくぐるぐる回す舌のエクササイズだ。3~5回、反対周りも3~5回。やや変顔にはなるが、食後にデスクに座りながらでもできてお手軽だ。みんなでやれば、怖くない。
歯磨きにお勧めのタイミング
ちなみに、食後といえば、つまようじを必ず使用する方も多いだろう。つまようじは、古代から世界各国で、歯間の食べかすを取るために、小枝や木片を使っていたことに由来する。日本でも「武士は食わねど高ようじ」という諺(ことわざ)があるように、古くから愛用されていたようだ。
現代では、日本のつまようじは、丸型が基本なのに対して、他国では、圧倒的に平型が多い。
この丸型は、丈夫なのだが、歯の隙間を広げやすいため、使いすぎには注意が必要だ。無理に歯間に入れ込まないようにした方がよい。
さらに、日本ではマナーや印象にも注意が必要だ。食後に人前でも「シーシー」とやっていないだろうか。「オヤジ臭い」「生理的に受け付けない」と感じている女性はかなり多い。手で隠しながらでも、印象は同じらしい。個人的には、お父さんたちの憩いの場である赤提灯系の居酒屋でまで「NG!」とするのは不寛容な気もするが、それでも嫌悪感を覚える人がいることを念のためお伝えする。TPOを考えながら賢明にご判断いただきたい。
食後には、つまようじを携えて化粧室へ行くのが作法だ。
歯のケア、歯磨きの本質的なポイント
以上を踏まえて推奨される歯のケアのタイミングは、次の通り。
(1)起床時:歯磨き+口すすぎ
(2)各食後:歯間ケア+唾液分泌法+口すすぎ
(3)就寝前:歯磨き+口すすぎ
こうしたタイミングや回数も、専門家によって若干、推奨する内容に違いがある。
もし、起床時と就寝前の歯磨きだけでは、歯がざらつくような場合には、食後、酸性に傾いたpHが中性に戻る60分後以降に歯磨きをするといいだろう。食間に歯を磨くことで、無駄な間食の予防にもなりそうだ。
また、食後のpHをはやく戻す裏ワザとしては、酸を中和するアルカリ性の水で、30秒程度口をゆすぐ方法がある。食用の重曹、小さじ1杯程度を、500mlの水に溶かすと、簡単にできる。
これをペットボトルなどに作っておけば、職場のランチ後にでもすぐに使えるので便利だ。虫歯菌の活動を抑え、だ液の働きも助ける。重曹は、体に安全な炭酸水素ナトリウムで、だ液にも含まれる成分だ。