利用者は約8万人、預かり資産は計約900億円
【田原】つまり、値下がりすると怖くてなって売って、値上がりすると楽観的になってどんどん買うと。
【柴山】そうです。あとから冷静になって考えればわかるのに、そのときは合理的な判断ができない人が多いのです。一方、ロボアドバイザーは感情の罠にはまらずに、淡々と正しいタイミングで売買をします。
【田原】いまウェルスナビのユーザーは何人ですか。
【柴山】いま約8万人の方が平均して100万円強、利用しています。預かり資産は合計で約900億円です。
【田原】競合はいますか。
【柴山】はい。私たちが預かり資産トップで、2位が楽天証券さん。じつは17年の1月の段階では逆に10倍の差をつけられていたのですが、いまは逆転して2倍以上の差をつけています。
【田原】どうして逆転できたんですか。楽天なら、サービス開発にもお金をかけるでしょう。
【柴山】じつはアルゴリズムは差別化になりません。実際、私たちはアルゴリズムをホームページで公開して、コピーし放題にしているくらいです。それより大切なのはエンジニアリング。操作性が良く、安定してセキュリティも高いアプリにすることのほうが、ずっと差別化になります。私たちは従業員のうち半分がエンジニアとデザイナーで、日本のものづくりの強みを金融に活かすという意識でやっています。そこがユーザーの評価につながったのではないでしょうか。
【田原】サービスは日本限定ですか。
【柴山】はい。海外展開はまだ先になるかと。必要な金融サービスは、経済成長の段階に応じて変わります。最初は家電や子どもの教育にお金を使い、次は住宅の需要が高まって住宅ローンが売れる。次に保険が売れ始めて、資産運用はようやくその後です。中国を除き、アジアで資産運用が求められるようになるのは、まだしばらくかかると考えています。