今は、死の淵をさまようことがなくても、体が不自由でなくても、近い将来、誰もがそうなる可能性を持っている。100年間も生きるのだから。これまでの人生80年とは大違いだ。だからこそ、私たちは100年時代を生き抜く新たな人生設計を立てなければならない。実はそれだけでは足りないかもしれないのだ。

ある研究者によれば、人間は120歳まで生きるだろうという。であれば、120年計画が必要となる。これまで人生は80年と考え、蓄えてきた老後資金では足りない。定年後の再就職だけではなく、再再就職まで考えなければならないかもしれない。パートナーとの関係もそうだ。

人生設計の見直しを迫られている

熟年離婚という言葉が生まれてから久しいが、人生120年と考えれば、当然のこととなるのではないだろうか。

いや、20代、30代は恋愛で結婚し、40代、50代では豊かな生活、潤沢な教育費などの金銭面で再婚、70代、80代では老後、緩やかな生活を一緒に楽しむパートナー選びというように、バツ2、3回結婚が常識とやるかもしれない。旧刑法では、姦通罪として処罰されていた時代から、不倫が月9ドラマのテーマとして主婦層の人気を集める時代に変わった。だからこそバツ2、3回結婚が人生の定番となるのも夢ではない。そのための心算は必要になる。

ともかく人生設計を見直さなければならないのは確かだ。

極度のうつ病になろうとも、あらゆる苦難を乗り越え、最期まで自分のやりたいことをまっとうしたホーキングの生き方こそが、リカレント教育の基本精神なのではないかと思う。表層的なものばかりに目を奪われていたのでは、長寿社会を豊かに過ごすことはできないだろう。

人生100年時代に向けてホーキングから学ぶとするならば、どんな苦境に立たされても、諦めず、いくつになっても希望と夢を持ち、歩んでいくということだ。

桝本誠二(ますもとせいじ)
クリエイターズアイ代表取締役
1973年生まれ。広島県出身。ビジネス書、ノンフィクション書籍の執筆・編集の他に出版プロデュース、出版コンサルタント・セミナー、企業コンサルタントを行っている。著書に『課長・部長のためのビジネス戦略の基本』『図解&事例で学ぶ問題解決の教科書』(共にマイナビ出版)、『広島カープの「勝ちグセ」戦略』(ぶんか社)などがある。
(写真=AFP/時事通信フォト)
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