※本稿は、『ホーキング 未来を拓く101の言葉』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「シンギュラリティ」は待ったなし!
ホーキングは「AIがこのペースで自分自身を開発し続けていけば、生物的進化の遅い人間は、競争する前に追い越されるだろう」と警鐘を鳴らした。
2013年にアメリカで、10~20年の間に半数の仕事がAIに取って代わられるという論文が発表された。翌年の2014年には、コンピュータが、13歳の少年として振る舞い、それに対して30%以上の人が、「人間かコンピュータか判別できない」という結果を出した。
これほどまでにAIは成長しているのだ。
「2045年問題」をご存じだろうか。2045年には、シンギュラリティがやってくる。言い換えれば、AIが人間の能力を超える時がくるということだ。
そうなれば、多くの職業は、AIが人間に取って代わることだろう。人間よりも優秀で、文句を言わず、粛々と作業をこなすのだから、経営者としてはこれほど良い労働者(?)はいない。
その職業は、レジ打ちやデータ入力作業要員に止まらず、編集や作曲といった分野まで広がるという。
すでに、その予兆が各所で見られる。昨年9月、みずほ銀行とソフトバンクは、AI技術を活用し融資の可否やその額を決定するサービスを始めた。またアメリカでは、過去の判例や各州によって異なる法律をデータに蓄積し、活用している。さらに感性が重視される音楽の分野においても選曲や作曲などでAIが活躍し始めている。この進化の速度は、加速する一方だ。
「産業革命」と同じことが再び起きる!?
では私たちは、これからの社会でどのようにAIと向き合い、働いていくべきか。
ホーキングは「マシンによって生産された富を分かち合えば、誰もが豊かな人生を送れるが、マシンの持ち主が富を分かち合うことに反対すると、ほとんどの人は貧困に苦しむことになる」と警鐘を鳴らした。
確実に、これから先、AIの技術は人間のそれを超えていくだろう。しかし便利になると同時に収入の確保を考えなければならない。日本においては、ベーシックインカムが導入されない限り、AIの大幅な導入は現実的ではないだろう。