フェイクニュースをどう見極めるのか

【田原】もう1つ聞きたい。SNSの情報はフェイクニュース、つまりデマが多いと批判されています。情報の正確さは、どうやって担保しているのですか。

【米重】フェイクニュースにはいくつかタイプがあります。1つは、いままで流行った別の画像を使い回すタイプ。これは過去の画像と同じなのですぐ見分けられます。まったくない話をでっちあげるタイプもありますが、そういったデマも過去のデマ投稿のパターンと類似性があるかどうかをAIが調べて判断します。

【田原】まったく新しいデマだと、調べてもわからないんじゃないの?

【米重】どこかの街に熊が出没したという投稿があったとします。本当ならば、ほかにも目撃者がいて投稿されるはず。もし1件しか投稿がなければ信憑性は低い。そういったことも含めて複合的に判断しています。

【田原】ファストアラートに流れる情報の精度は、いまどれくらいですか。

【米重】間違った情報が100件あったら、99件は流す前に弾けるくらいのところまできました。ごくたまに弾けないケースがありますが、報道機関は裏取りをするので、最終的には視聴者や読者のもとに届く前に弾かれるでしょう。

【田原】JX通信社の設立は08年。記事のマッチングサービスに失敗した後は、何をやっていたのですか。

【米重】ニュースエンジンを報道機関に提供していました。たとえばある新聞社の記事の文章を解析して、「これは政治」「これは経済」と自動で仕分けするシステムです。これを導入すれば、編集部は人力で記事の仕分けをする必要がなくなる。ちなみにファストアラートは、このときつくったエンジンの自然言語処理技術を活かして開発しています。

【田原】エンジンやファストアラートにしろ、報道機関に買ってもらわなくちゃいけませんね。

【米重】エンジンに関しては12年から産経新聞などに提供しています。ファストアラートは、フジテレビやテレビ朝日から入り始めて、17年4月までに在京のテレビ局すべてに入りました。新聞はいまのところ、朝日と産経。地方紙で大きいところだと神戸や静岡でも使われています。

【田原】これはどういう契約ですか。1配信いくらとか?

【米重】アカウントごとに月額です。