役員候補に必要な、5つの要件
──さらなる成長を続けていくためには、優秀な人材の確保、育成が重要になってきます。
当社は以前から人材教育に力を入れてきましたが、17年度から新たに次世代の役員を育成するための「経営塾」を始めました。執行役員と部長クラスのなかから10人程度を選抜し、約10カ月間のコースで、最終的に役員会に諮る具体的な戦略を練る実践的な内容です。数人がグループになり、今のポジションではなく、J.フロント リテイリングの社長の目線に立ち、今後、成長が見込める新規事業を考える。経営者としての視座を上げるための塾です。
──次世代の役員に求められる要件を、どうお考えなのでしょうか。
5つあると考えています。1つ目は「戦略思考」。一言でいうと、過去の成功体験にとらわれない大胆な発想ができることです。GINZA SIXはそうした戦略思考のなかから生まれました。2番目は「変革のリーダーシップ」で、現状に甘んぜず、常に世の中の変化に対応するべく目標に向かってリーダーシップを発揮する力です。
そして、3番目は「成果を出すことへの執着心」です。私は大学時代にバスケットボール部の主将としてインカレ3連覇を果たしました。トップレベルではライバルとの力の差はわずかで、最後に勝敗を分けるのは執着心しかないのです。「最後まで絶対に諦めない」という強い意志、精神力が大切なことを、そこで学びました。ビジネスも同じで、売り上げ、利益に対して執着心を持つことで、初めて具体策が出てくるのです。
4番目は「組織開発力」で、新しい戦略に基づき新規事業を始めるときに、どういう組織をつくり取り組むのかが重要になります。そして最後は、「人材育成能力」。本人がいくら優秀でも、後に続く人を育てられなければ、会社は継続しません。
異分子結合で、若手は発明体質に
──部長、マネジャークラスについてはいかがでしょうか。
次世代の部長、マネジャー育成に関しても、経営塾と同様に選抜制の「マネジメント塾」「リーダー塾」を設け、ひとつ上の段階で求められる知識などの習得や高い戦略性を養成しています。リーダーはJ.フロント リテイリングが大切にする考え方、「未来をつくるという気概を持っている」「失敗を恐れずに挑戦する」「新しい発想をどんどん取り入れる」「自分で考えて行動する」「良識を持って誠実に仕事をする」を、先頭に立って実践してほしいのです。