人工知能(AI)が私たちの働き方を変えると言われている。ビジネスパーソンは、これから何を学ばねばならないのか? IT化で激動する自動車産業に身を置く、三菱自動車・益子修CEOに話を伺った。
自動車産業は今、「100年に1度の大変革期」
自動車産業は今、「百年に1度の大変革期」と言われているように、非常に大きな転換期を迎えています。それは、世界中の市場でさまざまな環境規制が導入・強化されており、その対応として、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの電動化技術の開発が行われているからです。
また、IT技術の進展に伴って、自動車においても自動運転やコネクテッドカーなどのテクノロジー革命が起きています。既存の自動車メーカーによる内なる競争ではなく、異業種からの参入による新たなライバルも加わり、自動車産業そのものが大きな環境の変化の中にあります。加えて最近は「働き方改革」が盛んに言われ、従業員と会社の関係も変わりつつあります。
私たちはそうした転換期の中で、危機感と葛藤を抱きながら、モビリティ社会の実現に取り組んでいるのだということを、基本的な意識として持っています。つまり、自動車産業に携わっていること自体が、テクノロジーや働き方の革命そのものであって、社会にも個人にも大きな変化をもたらしているということです。この取り組みに対する評価は現時点では拙速にすぎるので後世に譲るとしても、こうした命題をかかげながら、変化を余儀なくされる世の中を生きているのだという認識がないと、働き方や意識の改革も先に進まないと思います。
もっとも、そうした環境変化に対する問題意識の捉え方は、世代間によって大きな違いがあることも確かです。誤解を恐れずに言うと、若い人たちは、私たちのような戦後間もない昭和生まれの世代と違って、人間的な喜怒哀楽をあまり外に出さないように見えますし、マイホームやマイカーなど、我々の世代が持っていた欲望もあまり持たず、淡々と自動車産業の環境変化に向き合っているように見えます。