女性リーダーが「やりがいを感じられない」理由

【3:女性リーダーがやりがいを感じられる会社に】

前出のパソナの調査によれば、女性リーダーの4人に3人が「転職を考えたことがある」としています。その理由は、「よりやりがいを感じられる仕事をしたいから」(30.5%)が最も多く、「より自分の能力を発揮できる環境が欲しいから」(25.3%)、「スキルアップしたいから」(23.5%)と続きます。

なぜ「やりがいを感じられない」と思う女性リーダーが多いのでしょうか。

パソナ キャリアカンパニーで女性活躍推進のコンサルティングを行っている石川ともさんは「チャレンジする女性をフォローアップする仕組みが必要」と指摘します。

「最近は、リーダーになったことで、意欲的に仕事に取り組む女性が増えてきていることを感じます。一方、企業側は、女性リーダーに対して、『期待し、機会を提供し、任せること』が十分にできておらず、女性リーダーの高い意欲を十分活かしきれていません。さらに、もともと女性管理職が少ない組織では、昇進をするにつれて、悩みを相談できる女性もだんだん少なくなります。機会の提供に加えて、チャレンジする女性をフォローアップする仕組みも必要だと考えます」

難しい仕事を女性に担当させない組織

特に、男性が多かった組織では、女性に仕事を任せることに慣れておらず、任される仕事の難易度に男女差が出てしまう(難しい仕事を女性に担当させない)ということは、過去の記事(管理職の本音は「女性部下はやりづらい」)でも指摘しました。このような問題を解消し、女性リーダーに機会を提供できる環境をつくるためには、研修などを通じて、組織の風土や、経営層などにいる男性の意識を変えていく努力が必要です。

また、大企業では、年齢が近い女性の先輩とペアリングを行い、キャリア相談ができる「メンター制度」を整えるケースが増えています。

さらに、経営層クラスの人材を支援者としてつける「スポンサー制度」を設けるところも出てきました。これはスポンサーをつけることで、メンティ(メンタリングを受ける人)の女性の存在感が高めるものです。スポンサーによる影響力の行使(例:重要なプロジェクトを任せる)が期待できるほか、メンティの女性にとって、仕事における悩みや課題について、より上位の目線で助言をもらうことができます。

チャレンジできる機会の提供と、スポンサー制度のようなフォローアップの仕組みを両輪で進めていくことが、女性リーダーがやりがいを感じられる会社になる鍵といえます。

【最後に】

今回、インタビューをお願いした女性たちからは、「役職に登用されて困っている」、あるいは、「これ以上昇進はしたくない」、というネガティブな意見は1つも頂きませんでした。リーダーとして活躍することへの女性の抵抗感は減っていると感じました。

今後、ここで述べたような企業のキャリア支援策の拡充と共に、より上位の役職に昇進する女性が増えることを期待しています。

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