仮説を検証するために「演繹」を繰り返すことが大切
有用なアイデアの多くは、論理的思考を突き詰めたところから生まれてきます。まずは、既存の思い込みを排除し、仮説を立てる。すべては仮説から始まると言っていいほど大事なことなのですが、それで終わらせてはいけません。仮説を検証するために「演繹」を繰り返すことが大切なのです。
もちろん、「検索」や「分類」といった専門知識があれば対応できる仕事などは、AIで補えるようになります。ただ、AIが特定の労働者と単純に置き換わるようなイメージを抱いている人がいるとするなら、それは誤解です。
AIの仕事ぶりに誤りがないかどうかをチェックしたり、AIに新たな正解を教えたり、AIが判定する結果がいつも通りかどうかを判断したり、さらには、新たな事象や問題について必要な対策を考え、実行させるといった仕事は人間が担い続けます。逆の見方をするなら、せっかく単純な仕事をAIが担ってくれるのだから、人間は、高度な判断、発想と検証、交渉などが必要な付加価値の高い仕事にシフトして、生産性を上げていけばいいのです。
なぜAIは「雑用」が苦手なのか
いわゆる「雑用」もAIは苦手です。人間は常識を駆使して例外的、個別的な判断を、学習せずにこなせます。そして人間は「雑用」を「仕組み化」する際に大いに創造性を発揮することもできます。
こうして、AI時代にあってもビジネスの現場で活躍できる人物像が浮かんできます。例えば、マネジメント能力に長けた人、切り盛りする能力が高い人、課題発見のできる人を目指すべきなのです。
異常な事態に対して、課題を発見し、その重要度を考える。そのうえで問題解決のアイデアを出して、AIを使って実践する。こういう人は重用されるでしょう。そのために必要なコミュニケーション力、想像力、創造力、実行力を育むことが肝要です。「知識労働から知能労働へ」――、これがAI時代を生き抜くキーワードです。