若い社員は、時に直属上司を飛び越して部長や役員に直談判

また、上下の風通しのよい会社にするには、中間管理職の役割が極めて重要です。職場で若い社員が手本とするのは、直属の上司だからです。上司が部下にとって頼りになるか、親身になって話を聞いてくれる人かといったことで、部下は変わります。上司は部下の教育者であると同時に、部下を守ってやる守護神でもなくてはなりません。直属の上司が、面倒見が悪く、上ばかり見て仕事をして部下を育てることをしないと、その部下も会社に対して不平不満を持つようになるでしょう。

最近の若い社員の中には、直属の上司が話にならないと思うと、いきなり飛び越してその上の部長や担当役員にまで直談判しにやってくる人がいます。それでは秩序が乱れてよくありません。上司のレベルを上げることがいかに大事かということにもなります。

では、会社の風通しをよくする中間管理職はどんな人かといえば、まず明るくて好奇心のあふれる人、家族を大事にして親孝行ができる人だと思います。この業界はまだ男性が中心の社会ではありますが、子育てが終わって職場に復帰してきたような経験豊かな女性から学ぶことも多く、男性のように余計なことを考えすぎず、現状を素直に受け止めて正しく判断する能力は頼りになります。ダイバーシティを推進して、より透明性の高い会社をめざすために、女性を積極的に登用することも、上司と部下のコミュニケーションをよくすると思います。

益子 修(ますこ・おさむ)
三菱自動車工業CEO
1949年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。72年三菱商事入社。主に自動車部門に携わり、執行役員・自動車事業本部長を経て、2004年6月三菱自動車に移り、常務。05年に取締役社長。17年から現職。
(構成=福田俊之)
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