加谷式
減収増益にチャンス

転換期を迎えた業界で大きな利益を狙うことも

会社の業績を把握するには、数字を流れで見るのが大事。私は売上高と営業利益の推移を見ている。5年間増収増益が続いていて、業界全体が伸びていれば、その後も好業績が続く可能性が高い。安心して投資ができる。とはいえ、これが絶対条件ではない。当てはまらない場合でも、詳しく検証していけば、チャンスが見つかることもある。

たとえば、家電量販店のヤマダ電機は2014年以降、毎年売上高が減少。同社は郊外型店舗が多いため、高齢化や都市部への人口移動が需要に影響しているのだろう。つまり、逆風の状況だが、逆に考えれば会社が変わるチャンスでもある。

営業利益を見ると回復している。売上高が減少する中でコスト削減などの構造改革が進んでいる可能性が高い。また同社は、人口が集まりやすい地方中核都市に出店し、太陽光発電システムやリフォームなど家電以外にも領域を広げている。家電量販店から総合量販店への転換を目指しているわけだ。

そもそも家電量販店は同社にビックカメラとヨドバシカメラを加えた3強がしのぎを削っている。戦略も三者三様だ。ビックカメラは都心部のメガストアを重視、ヨドバシカメラは通販に力を入れている。この戦略の違いが家電量販店の業界に転換期をもたらすかもしれない。その中でヤマダ電機の戦略に可能性を感じるなら投資対象とする価値がある。