生命保険文化センターが介護経験者に行った調査では、介護の期間は平均して約5年。介護費用は、公的施設を利用した場合で平均月9.8万円(「生命保険に関する全国実態調査」平成27年度)。介護期間を5年とすれば総額は588万円。配偶者が亡くなった後、最後の5年間を公的施設で介護を受けるのなら、65歳時点の老後資金は、前述の3100万円+588万円で約3700万円が目安となる。

一方、民間の施設で“終の棲家”となるのは「介護付き有料老人ホーム」が中心だ。同調査によると、民間施設を利用した場合の介護費用の平均は月14万円で、5年間では840万円。このほか入居一時金を200万円とすれば、介護費用は計1040万円。前述の老後資金3100万円と合わせて、老後資金は約4140万円が目安になる。

もっとも、本当に介護が必要になってからでは自分で施設を選ぶこともできず、家族の手を煩わせることになる。

元気なうちから入居する施設として人気が高まっているのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」だ。これは、安否確認や生活相談が受けられる高齢者向け賃貸マンションのようなもので、入居一時金は一般の賃貸の敷金・礼金程度、月額利用料は10万~30万円台が一般的。ただし、介護度が上がると退去を求められることもあるので、系列の老人ホームなどに入居が可能か、確認が必要だ。

元気なうちに住み替えるなら、自宅を売却したり賃貸にして入居費用を得るなど、資金計画も自分でたてられる。

親の介護に直面したら、自らの老後を考える機会ととらえ、真剣に向き合いたい。

(構成=有山典子 写真=iStock.com)
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