一方でどうやったらそこを変えられるかという問題意識はすごくあって、僕はそれをライフワークにしたいと思っています。日本からグローバルタレントをもっと出すために必要なのは、結局20代で行くことなのかなと思っています。就職する前にどういう刺激を受けて、どういう世界を見てくるか。

グローバルな視座とはどういうものなのか、グローバルでもトップレベルの仕事とはどういうものなのか、というのを若いうちから見られるかどうか。まだ体力的にも余地があるうちにどういう場数を踏めるかっていうのがすごく大事だと思っていて、日本の“20代の過ごし方を変える”にはどうしたらいいのかはすごく悩んでいますし、ライフワークとして取り組みたいなとは思ってます。

サッカー業界にある、海外移籍の「23歳論」

松嶋啓介氏

【松嶋】それに対して2つあります。1つは例えば日本に外資系ホテルがいっぱい入って来たのが1990年で、御三家と言われてたオークラとオータニと帝国ホテルから、新御三家と言われるフォーシーズン、ウェスティン、それからハイアットの3つが来ました。すべて外資系です。そのホテルのトップたちは外国人のヘッドクオーターを日本に呼んできて、日本人を育てて海外グループのネットワークを使って海外に排出していきました。だけど、その日本人たちはグループのトップになることは絶対にないわけです。「非常に優秀な人材ですね」で終わっちゃう。

【長谷川】どうしてですか?

【松嶋】そもそもトップとしての教育を受けてないからです。ローザンヌのホテルスクールのようなエグゼクティブな学校を出ていないし、叩き上げだと海外では無理なポジションというのがあるんです。だからやり方を考えないともったいないなと思っています。おもてなし産業の中で努力をしてきて、良いサービスをしたいと思ってる人たちと、ホテルというものを経営として回す事を学んできた人たちでは全然違うから、それが1つあります。

もう1つ、僕も20代で海外に行くことは賛成です。サッカーでは“23歳論”というのがあって、23歳以降で移籍した日本人はまだ1人も成功してないんですよ。

【長谷川】それがエンドリミットだと?