ゴールへ向けての一致団結が日本人の強み

松嶋啓介『「食」から考える発想のヒント やる気を引き出しチーム力を高める』(実業之日本社)

一方で僕は日本人も結構いけるのでは、と思っている部分もあります。日本人は先ほど言っていたゴールまでの画が見えると、そこに向けて一致団結する努力はできるタイプだと思うんです。それって稀有だと思っています。実はP&Gのプロジェクトマネジメントの仕組みを学んだ時すごく衝撃的で、それを自分の人生に置き換えて、人生の成功を定義してマイルストーンを決め、そこから毎年そこに向けて今年は何をやるかを決めて、年末にレビューするということを15年くらいやり続けてるんです。

日本人はそういう事が得意なのでは? と思いますし、それって結構大事だと思うんですね。だから画は最初から描けないかもしれないけど画の描き方をちゃんと学んでできるようになると、そこに向けて努力し続けることができる人は多いと思っています。そこに日本人がグローバルでも戦える部分が十分あるのでは、と僕は思っています。

【松嶋】ということは、自分達でそのゴールを見つける事をするのかしないのか。自分達で見つける能力は低いと思うんですが。

【長谷川】そこは鍛えないとダメだと思っています。

日本はグローバルリーダーを育てられるのか

【松嶋】それは自分達でやったほうがいいのか、それとも世界的な視野を持った経営者が日本の企業のトップになるほうがいいのか。例えばカルロス・ゴーンさんは“日本人は職人根性素晴らしくて、素晴らしい技術、匠を持ってるけど、この能力を世界のマーケティングに活かせてないから私がやります”というような感じで日産に来たんです。そうしたら案の定、日産が生き返りました。

つまり世界を見られるリーダーが来た方がいいのかとか、世界を見る事ができるようになるリーダーを育てるのか、経済合理性からいうと引っ張ってきた方が早いわけですよ。それを日本人だけで育てようと思ったら育つ可能性もわからないし、時間もかかるわけでね。