どれが自分の体に合うかは、風邪っぽいとき実際に飲んで、確かめておきましょう。うまく熱が上がり、じわっと汗をかく感じがあるものが「当たり」です。私の家では家族4人が、それぞれ別々の薬を飲んでいます。

飲み方ですが、少しでも「あれ、風邪かな?」と感じたらすぐに飲むこと。食前食後まで待つ必要はありません。西洋医学の薬のように眠くなりませんから、仕事中でも大丈夫です。

温めた体を冷やさないことも大事です。シャワーではなく浴槽でしっかり温まり(外湯は湯冷めのリスクがあるので避ける)、布団にくるまって早く寝ること。その間に体の免疫機能ががんばって、風邪を退治してくれます。

私は年に何度も風邪をひきますが、この方法でその日のうちに治してしまうので、風邪で仕事を休んだことはありません。いま中学生の息子も、幼稚園や学校を休んだのは2回だけです。

大事な試験や商談を控えていて、どうしても風邪をひきたくないときには、小柴胡湯(しょうさいことう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を飲んでおくのもいいでしょう。どちらも風邪をこじらせたときに使われる薬ですが、予防効果も期待できます。

サプリメントや健康食品は、基本的にあまり効きません。それより、生活の中で体を冷やさない工夫を。会食なら、ビールは最初の一杯だけにして、あとは温かい飲みものにする。どうしても生ビールを飲みたいなら、一気飲みせず少しずつ飲み、おつまみは温かい料理にしましょう。

適度な運動で筋肉量を増やすのも、体温が上がりやすくなるため風邪予防には有効です。「適度」には個人差がありますが、まったく運動習慣のない人なら、一日5分の散歩でもかまいません。ただし、運動後は汗を冷やさないよう注意してください。

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新見正則
帝京大学医学部外科准教授
血管外科・静脈疾患の専門家であるとともに、西洋医学の臨床で漢方を活用。セカンドオピニオン外来のパイオニアでもある。
 
(構成=川口昌人)
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