チョー・ヨンピルを一晩で5回も歌った理由

――でも、上司からは「面白いヤツ」だと思われたほうが仕事も円滑に進みそうです。出口さんも共通の話題で盛り上がれる部下のほうがかわいいと思いますよね?

そういう上司はグローバルに対応できませんよ。たとえば自分と同じキリスト教徒、イスラム教徒でなければかわいくないというのは、マネジャーとして失格ですから。

それでも上司にかわいがってほしければ、上司が好きな懐メロを覚えて歌ってみてはどうでしょう。もちろん僕なら、そんなことより自分が好きなことに時間を使いますが。

――うちの会社でも営業部の人たちはバブル時代の曲をわざわざカラオケで練習していると聞いたことがあります。

そういえば僕も30歳の頃、上司から飲みにいこうと誘われて、カラオケにいったことがあります。それで「ちょっと歌ってみろ」と言うので、自分が好きな曲を歌うとひどく呆れられました。「そんな曲を歌っているようでは営業できないぞ。俺が手本を見せてやる」と。

確かそのときに教えてもらったのが、チョー・ヨンピルの「想いで迷子」。それで僕が歌うと「下手や。もう1回やり直し」とか言われて、結局、その曲を一晩で5回ほど繰り返し歌わされて覚えた記憶があります。

――5回も歌ったんですか。しっかり出口さんもやっているじゃないですか……。

たまたまです。共通の話題がなくても「デキる部下」と思われたほうがいいと思いますよ。

Answer:「無駄なバカ話をする必要がない」と、喜んでください

出口治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長・国際業務部長。ライフネット生命社長・会長を経て現職。
 
(構成=八村晃代 撮影=市来朋久 写真=iStock.com)
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