自分にない素晴らしい点があるから憧れる
――え、そうなんですか?
僕よりも年上の常勤監査役で、保険業界での経験も僕より長く、深い。その人にはいつも叱られています。
――出口さんが叱られるんですか?
はい。あれこれ議論して、最後に言われるのは、「理屈はわかった。でも俺は年上で経験があるから従うように」と。僕は彼を尊敬しているので、最後は彼の感覚を信じます。これこそ最高のロールモデルでしょう。
――出口さんは「数字・ファクト・ロジック」で考える人ですよね。違うタイプの方がロールモデルになったということですか。
それが大事です。ロールモデルというのは、「生き方や考え方を見て参考にする」ということなので、自分と必ずしも同じタイプの人である必要はありません。
――なるほど。確かに私の上司も自分とは違うタイプでした。
自分にはない素晴らしいところがあるから憧れるのです。つまり、ダイバーシティが大事。自分とは視点や、感覚が違うからこそ、その人が貴重な存在になる。
数字・ファクト・ロジックだけでは抜けがあるかもしれません。最後は経験者の勘に頼ることも大切なのです。そういうロールモデルが身近にいなくて欲しければ、広い世界に探しにいけばいいのです。
Answer:身近にいなければ社外か書物の中を探してみてください
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、ライフネット生命社長・会長を経て、2018年1月より現職。