「定食スタイル」が朝のビジネスミーティング向き

高級ホテルの、主にウェスタン式(西欧式)の朝食には、いわずもがな2つの形式がある。かつて主流だった「完全着席式定食スタイル」、それから、現在の圧倒的多数派「着席バフェ式(バイキング式、ブッフェ式)」である。「定食スタイル」について、正統的ダイニングルームでの定食が本当に少なくなってしまい、今では帝国ホテルのフレンチダイニング「レ・セゾン」くらいだろうか。定食とバフェ、両方準備しているカジュアルダイニングはよく見かける。

正統派の定食といえば、パン、ジュース、コーヒー主体の「コンチネンタル式」と、そこに卵や肉の温かい料理の皿が付く「アメリカン式」がもちろん主流である。朝食における"スペクタクル性"は乏しくなるが、じっくり話をする朝のビジネスミーティングなどには、こうした定食スタイルが適している。

出張中などで仕事相手と朝食をともにすれば、より親近感が深まる。宿泊先ではないホテルで仕事先の方と朝食を一緒すれば、すがすがしい気分での建設的なミーティングとなるはずで、これなどはあるテーマを決めてのセミナー的な会合にも適しているはずだ。

ホテルの朝食は、ますます楽しくなっていく

一方のバフェ朝食であるが、世界中の共通点として、だんだん品数が増え、豪華になっている。いわゆるビジネスホテルクラスの業界でも、「朝食戦争」に拍車がかかっており、料金に比して品数が多く、個性的な朝食を供するホテルが出てきている。高級ホテルは品数はもちろんのこと、質の高さで勝負しなくてはならない時代に突入した。

日本人の特性と外国人観光客の要求をあわせた結果、和食の要素を取り入れるホテルが増加している。朝食の評判がよい高級ホテルのうち、東京ステーションホテルは和の要素も取り入れて、約120品目を揃え、壮観で美味しい朝食を提供している。地方の料理(ローカルフード)を充実させたホテルもある。

朝食はますます充実し、そして楽しくなり、心身のパワーチャージに最適であることから、今後はビジネスミーティングならぬ"ビジネス接待朝食"などの動きも出てくると私はにらんでいる。

さて、高級ホテルでは、専門の日本料理店(和食堂)を備え、朝食営業をしているところも多い。この場合、日本料理の料理人が朝から支度をしている場合がほとんどで、正統派の日本料理の朝食がゆっくりテーブルで堪能できる。粥などを準備していることも少なからずある。出張時であれば、気分を変えるのに適していて、ミーティングにも意外感が出て、狙い目だ。

朝食が楽しいホテルを1つ紹介しろ、と言われたら、ザ・リッツカールトンを挙げる。