相手の話を聞くときにも、2軸メモを書く

自分が話をするときだけではなく、相手が何かを説明しているときも同様に2軸メモを活用します。

例えば、あるメンバーが、トラブルの報告でやって来た場合。

状況が整理されていないままの報告を受けて、すぐに理解ができなければ、「それって、こういうこと?」と紙に2軸で整理しながら話を聞きます。

トラブルが発生したときは、「何が起きたのか」すら、わからないことがあります。そのときには、まず「何がわかっていて、何がわかっていないか」を仕分けることで糸口がつかめます。トラブル対応は、わかっていないことに対して、わかるためのアクションを打っていけばよいのです。

話している側も、紙の上に「見える化」されていくと、どんどん頭が整理されてきます。そして結果的に、「ホウ・レン・ソウ」の質も上がります。

2軸メモをチームで活用しよう

2軸メモをチーム全体が実践するようになると、驚くほどチームの成果が高まります。これは私の実体験から間違いなく言えます。

チームで2軸メモを活用するために重要なのが、「すぐに書ける環境」を用意しておくことです。

私は自分の席の隣のスペースに簡易的なテーブルを置き、そのテーブルにコピー用紙とカラーペンを常備しています。こうすることで、

・会議室を確保する
・資料を準備する

といった煩雑さが排除され、メンバーがいつでもすぐに集まり、紙に書きながらコミュニケーションすることが可能になりました。

リーダーである私自身がこうした「場」を作ることで、メンバー全員に対して「会話をするときには2軸メモを使おう」というメッセージを発することにもなり、チーム全体が紙に書きながらコミュニケーションするクセをつけることができました。

2軸メモに必要なものは、紙とペンだけです。みなさんの職場でも、ぜひ、日々の業務に取り入れてみてください。

木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。2017年より現職。著書に『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(以上、KADOKAWA)がある。
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