※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。
「コミュ障」だった私がたどりついたのは……
私は、外資系企業のマネジャー職を務めているので、「人前で雄弁に話をするのだろう」とか「プレゼンがうまいのだろう」と思われがちなのですが、実は、それほど話すのが得意ではありません。
私は若い頃、コミュニケーション能力とは「声が大きく、雄弁に話し、相手を言いくるめるのが得意なこと」だと思っていました。ですから、声が小さくて伝えるのも下手な自分のことを「コミュ障」だと感じ、話すことに長年苦手意識がありました。
しかし、仕事をしていく中で、声は大きくなくても、たとえハキハキとしていなくても、「自分が伝えたいことを的確に表現することのほうが重要」であることに気づきました。
そして、「どうしたら伝わるか?」を突き詰めた結果、「2軸で書いて伝える」という方法にたどり着いたのです。
2軸メモを書きながら、会話する
私は現在、500人のチームメンバーを抱えています。その全員と会話をすることはなかなかありませんが、それでもコミュニケーションに費やす量は多くなります。それゆえ、必然的に、1回1回のコミュニケーション時間を短くせざるを得ません。
ですが、チーム全体の動きで見ると、たった1つのコミュニケーションミスも、全体に大きな影響を与える可能性があります。そのため、「短い時間で、確実に伝えたり聞いたりすること」がとても大切です。
そのような状況の中で、確実にコミュニケーションをするために行っているのが、「紙に書いて会話すること」です。
伝えたい内容を2軸で整理した図に書いて、「2軸メモ」として相手に渡すのです。こうすることで、口頭で伝えるより何倍も「確実に伝わる」ようになります。
ここで言う「2軸」とは、「タテとヨコ2本の線を引いて、そこに、あらゆる事象を配置してみると、シンプルに整理しながら考えられる」ということで、私が「2軸思考」と呼んでいるものです。そして、この考え方を活用して書いたメモが「2軸メモ」です。